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「シン・仮面ライダー」紀伊宗之氏、是枝監督らとタッグで映画新ファンド設立 カンヌで18日会見


紀伊宗之氏が代表取締役CEOを務めるK2 Picturesの世界始動に賛同し、ともに映画製作を進めていく、左から岩井俊二監督、是枝裕和監督、白石和彌監督、西川美和監督、MAPPA、三池崇史監督

22年の「シン・仮面ライダー」(庵野秀明監督)、23年の「リボルバー・リリー」(行定勲監督)「キリエのうた」(岩井俊二監督、)などのプロデューサーとして知られる、紀伊宗之氏(54)が代表取締役を務める映画、映像を中心とした事業を展開する新会社K2 Picturesが10日、世界に向けて本格始動した。

第1弾として“日本映画の新しい生態系をつくる””ことを目標に掲げ、K2 Film Fund1 (ケーツーピー フィルム ファンド ファースト)を立ち上げる。具体的には、映画製作において新たな国内外投資家の日本映画産業への参入、クリエーターへの利益還元を推し進めていく。

近年、日本コンテンツの世界における活躍は、目覚ましいものがある。3月の第96回米アカデミー賞で、山崎貴監督(59)の「ゴジラ-1.0」が、アジア初の視覚効果賞を受賞した。

また、賀来賢人(34)が原案と主演、共同エグゼクティブ・プロデューサーを務めるNetflixシリーズ「忍びの家 House of Ninjas」がグローバル1位(非英語作品)を獲得し、世界92の地域でTOP10入りするなど大ヒット。賀来は4月に同作で監督、脚本を務めた米国人のデイブ・ボイル氏と、映像制作会社SIGNAL181を設立すると発表した。

さらに真田広之(63)が主演、プロデュースしたディズニープラスSTARオリジナルシリーズ「SHOGUN 将軍」など、日本文化を描いた作品の人気は高い。アニメや漫画なども世界での人気は右肩上がりと、コンテンツは国内産業の中でもトップクラスの一大産業に発展している。

一方で、まだまだ日本の映画製作において、海外法人や国内においても新しい投資家が参入しにくい現状がある。そこで、K2 Picturesは、現状の日本の映画製作における新たな選択肢として、日本コンテンツに興味がありながら接点を持てなかった国内外の会社が参加しやすいように、海外からの投資を想定した法律・会計基準を持つファンドを練り上げた。さらに同ファンドには、クリエーターや制作に関わるスタッフに対する利益還元の仕組みも取り入れる。同社は「多くの才能が映画産業に夢を持ち続けられる体制を整えてまいります」とした。

また、K2 Picturesが目指すビジョンに賛同し、ともに映画製作を進めていく監督、アニメーション会社も、併せて発表した。世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭(フランス)で18年に「万引き家族」で最高賞パルムドールを受賞し、14日に開幕する第77回同映画祭で審査員を務める是枝裕和監督(63)が賛同した。さらに岩井俊二監督(61)、17日に自身初の時代劇映画「碁盤斬り」の公開を控える白石和彌監督(49)西川美和監督(49)三池崇史監督(63)さらに「呪術廻戦」「チェンソーマン」など海外でも人気の高いアニメーション制作を行うアニメ制作会社MAPPAも加わった。各クリエーターは、コメントを発表した。

岩井俊二監督 紀伊宗之のやりたいことなら絶対に応援したい。それがこのプロジェクトに参加した僕の純粋なる動機だ。プロデューサーとしての彼は無類に頼もしい。彼にかかったら開かない鍵なんかないかのようだ。彼とする仕事は無類に楽しい。それは彼に人を信じる力があるからだと思う。いつの時代も破天荒な発明家が時代を塗り替えて行く。今回、彼は僕らのために新しい乗り物を作ってくれた。K2 Pictures。それは自動車のようでもあり、船のようでもある。飛行機にも潜水艦にもなり得る。山に登ればそれはピッケルとアイゼンに変身してくれる。そんな変幻自在、臨機応変なしなやかさがK2 Picturesの持ち味になることだろう。そんなチームだったらフィルムメーカーだって本気で頑張れる。僕も思いつく限りのアイデアを投じてこの恩に報いたい。どんな冒険が僕らを待ち受けているだろう。10年後、どんなチームに成長しているだろう。とにかく今から何もかもが待ち遠しくて仕方がない。

是枝裕和監督 30年映画を作って来て感じていた既成の作り方への疑問や、違和感をどうしたら改善出来るか模索している途上で、紀伊さんたちの取り組みに出会いました。このチャレンジが成功して、映画界に良い風が吹き、新しい才能にチャンスが開かれる。そんな未来を実現しようとしている心意気に共感して、仲間に加えて頂きました。共闘を楽しみにしています。

白石和彌監督 K2 Picturesの勇気ある船出に心から拍手を送ります。日本の映画界に革命を起こし、見えない壁を壊して下さい。今までの日本映画では実現不可能だった企画や、突出したユニークな才能が生まれることを期待しています。私も並走して世界を驚かせる映画を作りたい。よろしくお願いします。

西川美和監督 日本の映画の世界でキャリアを重ねながら抱くようになったのは、なぜか自信や希望よりも行き止まりのロープにつんのめるような感覚でした。これ以上映画を撮るのはなんとなく怖いような気がしていました。それで「映画」から背を向けるように、従来の映画会社や出資者が決して歓迎しないような話を書いていたんです。すると紀伊さんという人が立ち上げたK2 Picturesが新しい投資で資金繰りしてそれを映画にする、と言ってくれた。本気だろうか、と思いました。しかも若い作り手の独創的な企画にもチャンスの扉を開いているという。安全牌で固める発想ではなく、新しい人やきわどいものに必要十分な資金と環境で機会をつくることを目指すK2 Picturesの挑戦には乗ってみる価値があると思いました。ある意味、K2 Picturesのファンドや新しい配給の仕組みは、危険な冒険にも思えます。実際、一筋縄ではいかないこともあるでしょう。でもそれが映画作りだし、どうせ映画を作るなら私は冒険をするチームと組みたい。それがこれから先に日本で映画を作っていく人たちの、新しい活路になっていく可能性があるならばなおさらです。

MAPPA 「K2 Picturesの挑戦を応援したい」という想いで、このプロジェクトに参加させていただきました。私たちも、アニメーションスタジオとして何ができるのかを精いっぱい考えながら、映画製作のパートナーとして力を尽くしたいと考えております。

三池崇史監督 「K2 Pictures」。 そして紀伊という怪しげな男について紀伊=誠実な破壊者。私はこう見ている。とてもパワフルだ。そして、そのエネルギーの源は、優しさだと思っている。「もっと面白い映画を創って、もっと幸せになろうよ」紀伊さんの笑顔に、そんなシンプルなメッセージを感じる。だから私は「K2 Pictures」を信じている。

K2 Picturesは、世界中の映画業界関係者が多く集まるカンヌ映画祭会期中の18日(現地時間)に、映画祭メイン会場のパレに近いJWマリオット・カンヌで記者会見を開催する。同社が掲げるビジョンと、立ち上げるファンドを世界に向けてプレゼンテーションすることが目的で、紀伊代表取締役CEOと三池、西川両監督が登壇する。さらに、監督デビューする大型新人監督の発表も行う予定だ。

◆紀伊宗之(きい・むねゆき)1970年(昭45)1月18日、兵庫県西宮市生まれ。95年に東映関西興行に入社。広島、大阪での劇場勤務で映画興行を経験し、会社設立直後の株式会社ティ・ジョイへ出向。劇場支配人を務めた後、東京・新宿バルト9の開業を総括の後、同社エンタテイメント事業部へ異動。「春との旅」(10年)「放課後ミッドナイターズ」(12年)のプロデュースや「佐賀のがばいばあちゃん」(06年)「009 RE:CYBORG」(12年)「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」(12年)の配給を行った。また、国内初のライブビューイングビジネスを立ち上げ事業化。さらに、アジアへの直接配給など、海外展開も積極的に推進した。14年に東映株式会社映画企画部へ異動し「シン・エヴァンゲリオン劇場版」(21年)を配給。プロデューサーとして「犬鳴村」シリーズ(19年~)「孤狼の血」シリーズ(18、21年)「初恋」(20年)を手がけた。映画企画部ヘッドプロデューサーを務めていた東映を、23年4月に退職。同8月1日にK2 Picturesを立ち上げた。

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